浄土真宗本願寺派
浄土真宗本願寺派
浄土真宗本願寺派とは、親鸞聖人を宗祖とする宗派のことをいいます。
浄土真宗本願寺派は、親鸞聖人の墓所である大谷廟堂(大谷本廟〈京都府〉)を発祥としています。
日本最大の宗派である浄土真宗本願寺派は、現在(令和3〈2021〉年)、10,106寺院を包括しています。
また、門信徒数の796万人(平成26〈2014〉年)は、仏教寺院最大であり、宗教法人全体でも、神社本庁に次ぐ、第2番目の宗派です。
浄土真宗本願寺派の本山は、本願寺(龍谷山 本願寺〈西本願寺《京都府》〉)、通称・西本願寺です。
浄土真宗本願寺派は、立法(国会)・行政(内閣)・司法(裁判所)、同様、立法(宗会)・行政(総局)・司法(監正局)の三権分立により、施策決定制度を維持しています。
また、日本国憲法の象徴天皇、同様、浄土真宗本願寺派・宗主・大谷家を浄土真宗本願寺派の象徴に位置づけていることも特筆される点です。
浄土真宗本願寺派の宗主は、宗祖・親鸞聖人→第2代宗主・如信上人→第3代宗主・覚如上人→第4代宗主・善如上人→第5代宗主・綽如上人→第6代宗主・巧如上人→第7代宗主・存如上人→第8代宗主・蓮如上人→第9代宗主・実如上人→第10代宗主・証如上人→第11代宗主・顕如上人→第12代宗主・准如上人→第13代宗主・良如上人→第14代宗主・寂如上人→第15代宗主・住如上人→第16代宗主・湛如上人→第17代宗主・法如上人→第18代宗主・文如上人→第19代宗主・本如上人→第20代宗主・広如上人→第21代宗主・明如上人→第22代宗主・鏡如上人→第23代宗主・勝如上人→第24代宗主・即如上人→第25代宗主・専如上人が歴任、法灯・法義を相承されています。
宗祖・親鸞聖人の没後、曾孫の覚如上人(本願寺・第3代宗主)は、法然上人・親鸞聖人・如信上人(本願寺・第2代宗主)の3代が、浄土真宗の正当な法灯・法義を相承していると仰ぐ、三代伝持を主張しました。
この三代伝持は、親鸞聖人の祖廟継承の正当性を公言すると同時に、浄土真宗の系譜を確立するものでもあり、覚如上人は、大谷本願寺(本願寺〈京都府〉)を建立して、自身を本願寺・第3代と公称しました。
当時の浄土真宗の中心は、佛光寺(本山 佛光寺〈京都府〉)・専修寺(高田本山 専修寺〈三重県〉)などであり、本願寺は、蓮如上人(本願寺・第8代宗主)の時代まで、天台宗の一末寺としての存在にしか過ぎませんでした。
室町時代になり、蓮如上人は、民衆を中心とする講という組織を募り、人々が平等に教えを聴聞できる場所を提供しました。
現在、学校などに講堂がありますが、この命名は講が語源になっています。
やがて、親鸞聖人の教えを安易な言葉で解説する、御文章(御文)を著作した蓮如上人は、民衆に分け隔てなく、広範囲に配布し、法義繁盛・念仏興隆を教化していきました。
この御文章により、本願寺は急速に発展拡大し、一向宗・門徒宗と呼ばれるようになりました。
一方、講には表裏があり、本来、信心・念仏を歓ぶべき組織の筈が、一部の民衆の中には、蓮如上人の制止にも関わらず、施政者(大名)と戦を行うことも屡々でした。
この講に、戦国時代、支配権に不満を持つ国人・土豪などが加わり、世にいう一向一揆の発端となったことも歴史的事実です。
顕如上人(本願寺・第11代宗主)の時代には、織田 信長 公(戦国大名)と戦を行う石山合戦などがあり、本山は点々としますが、豊臣 秀吉 公(太閤)の献上により、現在の京都・七条堀川の地に、本願寺は再興されることになります。
しかし、この献上は、本願寺教団内部での対立状況を招き、加わることの徳川 家康 公(江戸幕府・第1代将軍)の宗教政策の対象となりました。
結果、顕如上人の長男である教如上人(真宗本廟〈東本願寺《京都府》〉・第12代門首)は、徳川 家康 公から本願寺の東隣りにある京都・七条烏丸の地を献上されています。
ここに、当時、最大の宗教勢力であった本願寺は、東西に分裂されました。
顕如上人の三男である准如上人は、本願寺、通称・西本願寺・第12代を、教如上人は、真宗本廟、通称・東本願寺・第12代を継承することになりました。
以降、本願寺を本山とする宗派を浄土真宗本願寺派・西本願寺といい、真宗本廟を本山とする宗派を真宗大谷派・東本願寺といいます。
歴史上、対立的構図で見られがちな西本願寺・東本願寺ですが、時代を経て、真宗教団の中、双方、友好的関係が構築されていることを追記しておきます。
現在、浄土真宗本願寺派は、龍谷大学(京都府)・京都女子大学(京都府)・龍谷大学付属平安高校(京都府)・京都女子高校(京都府)など、24法人・70校からなる宗門関係学校があり、日本有数の教育的宗派です。
浄土真宗の教章(私の歩む道) |
宗名 |
浄土真宗 |
宗祖
(ご開山) |
親鸞聖人
ご誕生1173年5月21日(承安3年4月1日)
ご往生1263年1月16日(弘長2年11月28日) |
宗派 |
浄土真宗本願寺派 |
本山 |
龍谷山 本願寺(西本願寺) |
本尊 |
阿弥陀如来(南無阿弥陀仏) |
聖典 |
◎釈迦如来が説かれた『浄土三部経』
『仏説無量寿経』・『仏説観無量寿経』・『仏説阿弥陀経』
◎宗祖・親鸞聖人が著述された主な聖教
『正信念仏偈』(『教行信証』行巻末の偈文)
『浄土和讃』・『高僧和讃』・『正像末和讃』
◎中興の祖・蓮如上人のお手紙
『御文章』 |
教義 |
阿弥陀如来の本願力によって信心をめぐまれ、念仏を申す人生を歩み、この世の縁が尽きるとき浄土に生まれて仏となり、迷いの世に還って人々を教化する。 |
生活 |
親鸞聖人の教えにみちびかれて、阿弥陀如来のみ心を聞き、念仏を称えつつ、つねにわが身をふりかえり、慚愧と歓喜のうちに、現世祈祷などにたよることなく、御恩報謝の生活を送る。 |
宗門 |
この宗門は、親鸞聖人の教えを仰ぎ、念仏を申す人々の集う同朋教団であり、人々に阿弥陀如来の智慧と慈悲を伝える教団である。それによって、自他ともに心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する。 |
※浄土真宗本願寺派(西本願寺)『浄土真宗の教章』参照